会社を売る・たたむ時の経理処理|清算・M&Aの基本
会社の「終わり方」は2つある
会社を閉じる方法は大きく2つ。「清算」と「売却(M&A)」です。
- 清算:会社をたたんで法人格を消滅させる
- M&A:会社を他社や個人に売却する
どちらを選ぶかで、経理処理も税金も大きく変わります。
会社を清算する場合
清算の流れ
- 解散の決議:株主総会で解散を決議
- 清算人の選任:通常は代表取締役が清算人に
- 解散の届出:法務局への登記、税務署への届出
- 債権・債務の整理:売掛金の回収、買掛金の支払い
- 残余財産の分配:残った財産を株主に分配
- 清算結了の登記:法人格の消滅
全体で最低2〜3か月、長ければ半年以上かかります。
清算に関する経理処理
資産の処分
在庫、設備、車両などの資産を売却します。帳簿価額と売却額の差額は「固定資産売却損益」として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | |------|------|------|------| | 普通預金 | 300,000 | 車両運搬具 | 500,000 | | 固定資産売却損 | 200,000 | | |
退職金の支払い
従業員への退職金は「退職金」として経費計上します。役員退職金は適正額の範囲内で損金算入可能です。
清算時の法人税
解散から清算結了までの期間ごとに法人税の申告が必要です。
- 解散事業年度の確定申告(解散日まで)
- 清算中の各事業年度の確定申告
- 残余財産確定後の確定申告
残余財産の分配と税金
清算後に残った財産を株主に分配する場合、資本金等を超える部分は「みなし配当」として課税されます。
会社を売却する場合(M&A)
M&Aの方法
| 方法 | 概要 | |------|------| | 株式譲渡 | 株主が株式を買い手に売却 | | 事業譲渡 | 会社の事業の一部または全部を売却 | | 合併 | 他社と合併して1つの法人に | | 会社分割 | 事業の一部を新会社に移管して売却 |
中小企業のM&Aで最も多いのは株式譲渡です。
経理面で必要な準備(デューデリジェンス対策)
M&Aの買い手は「デューデリジェンス(DD)」と呼ばれる詳細調査を行います。経理関連では以下の書類が求められます。
- 過去3〜5年分の決算書
- 月次試算表
- 勘定科目明細
- 税務申告書
- 固定資産台帳
- 借入金一覧
- リース契約一覧
- 訴訟・紛争の有無
帳簿がきれいな会社ほど高く売れます。 帳簿が不正確だと、買い手の不信感を招き、売却価格が下がるか、取引自体が破談になります。
株式譲渡の税金
個人株主が株式を売却した場合、譲渡益に対して約20%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。
計算例:
- 売却額:5,000万円
- 取得費(出資額):1,000万円
- 譲渡益:4,000万円
- 税額:4,000万 × 20.315% = 約812万円
どちらを選ぶべきか
| | 清算 | M&A | |---|------|-----| | 手取り額 | 残余財産のみ | 事業価値込みの売却額 | | 従業員 | 解雇 | 引き継ぎ可能 | | 取引先 | 関係終了 | 継続可能 | | 手続き | 比較的簡単 | 交渉が必要 |
利益が出ている会社、従業員がいる会社は、M&Aの方が社長にとっても関係者にとっても良い結果になることが多いです。
どちらを選ぶにしても、正確な帳簿が前提です。フリーフリーで日頃から記帳を自動化し、いつでもきれいな帳簿を出せる状態にしておきましょう。