個人事業主 vs 法人|年収別に有利なのはどっち?シミュレーション
個人事業主のままか、法人化するか
フリーランスとして事業が順調に伸びてくると、「法人化したほうが得なのでは?」と考え始めます。
結論から言うと、年収(所得)によって有利な方が変わります。この記事では年収別にシミュレーションします。
個人事業主と法人の違い
| 項目 | 個人事業主 | 法人(合同会社) | |------|-----------|----------------| | 設立費用 | 0円 | 6〜10万円 | | 税金 | 所得税(5〜45%)+ 住民税10% | 法人税(15〜23.2%)+ 住民税 | | 社会保険 | 国保 + 国民年金 | 健保 + 厚生年金 | | 経費の幅 | やや狭い | 広い | | 赤字の繰越 | 3年 | 10年 | | 信用力 | 低め | 高め |
税金の仕組みの違い
個人事業主の税金
所得税は「累進課税」です。所得が増えるほど税率が上がります。
| 課税所得 | 税率 | |---------|------| | 〜195万円 | 5% | | 195〜330万円 | 10% | | 330〜695万円 | 20% | | 695〜900万円 | 23% | | 900〜1,800万円 | 33% | | 1,800万円〜 | 40%〜 |
これに住民税10%が加わります。
法人の税金
法人税の税率は原則一定です。
- 年800万円以下の所得:15%
- 年800万円超の所得:23.2%
法人の場合、自分への給与(役員報酬)を経費にできます。役員報酬には給与所得控除が適用されるため、二重の控除効果があります。
年収別シミュレーション
所得=売上−経費として、社会保険料も含めた概算です。
所得400万円の場合
個人事業主
- 所得税 + 住民税:約60万円
- 国保 + 国民年金:約55万円
- 合計負担:約115万円
法人(役員報酬400万円)
- 法人税等:ほぼ0円(利益なし)
- 個人の所得税 + 住民税:約20万円
- 社会保険料(会社+個人):約120万円
- 合計負担:約140万円
所得400万円では個人事業主が有利です。法人化すると社会保険料の負担が大きくなります。
所得700万円の場合
個人事業主
- 所得税 + 住民税:約130万円
- 国保 + 国民年金:約80万円
- 合計負担:約210万円
法人(役員報酬500万円、法人利益200万円)
- 法人税等:約40万円
- 個人の所得税 + 住民税:約30万円
- 社会保険料(会社+個人):約145万円
- 合計負担:約215万円
所得700万円では、ほぼ同等です。法人化のメリットは税金面以外(信用力、経費の幅)で出てきます。
所得1,000万円の場合
個人事業主
- 所得税 + 住民税:約240万円
- 国保 + 国民年金:約100万円
- 合計負担:約340万円
法人(役員報酬600万円、法人利益400万円)
- 法人税等:約75万円
- 個人の所得税 + 住民税:約45万円
- 社会保険料(会社+個人):約170万円
- 合計負担:約290万円
所得1,000万円になると、法人化のほうが約50万円お得です。
法人化のメリット(税金以外)
経費の幅が広がる
- 役員報酬(自分への給料)
- 出張手当(日当)
- 社宅として家賃の一部を経費化
- 生命保険料の経費計上
信用力が上がる
法人のほうが取引先からの信用が高いです。大企業との取引では法人が条件になることもあります。
赤字を10年繰り越せる
個人は3年ですが、法人は10年です。
法人化のデメリット
設立費用がかかる
合同会社で6〜10万円、株式会社で20〜25万円程度かかります。
社会保険料が高い
法人は社会保険への加入が義務です。個人の国保+国民年金より負担が大きくなるケースが多いです。
経理が複雑になる
法人の決算は個人事業主より複雑です。税理士への依頼がほぼ必須になります。
赤字でも住民税がかかる
法人住民税の均等割(年間約7万円)は、赤字でも毎年かかります。
法人化の目安
一般的な目安として、以下のタイミングで法人化を検討しましょう。
- 所得が800〜1,000万円を安定的に超えている
- 消費税の課税事業者になるタイミング
- 取引先が法人化を求めている
- 事業を拡大して人を雇う予定がある
まとめ
- 所得400万円以下なら個人事業主が有利
- 所得700万円前後がほぼ損益分岐点
- 所得1,000万円超なら法人化を本格検討
- 税金以外のメリット・デメリットも考慮する
法人化のシミュレーションには正確な帳簿が欠かせません。フリーフリーで日々の取引を記録しておけば、いつでも所得を把握でき、法人化の判断材料が揃います。