事業を休業・廃業する時の確定申告と届出|やめる前にやること
事業をやめる前に、やるべきことがある
個人事業主として活動してきたけれど、事業をやめることにした。転職、体調の問題、事業の不振……。理由はさまざまです。
しかし、ただ「仕事をやめる」だけでは手続きは完了しません。届出、確定申告、消費税の処理など、やるべきことがあります。これらを怠ると、後から余計な税金やペナルティが発生するリスクがあります。
この記事では、廃業・休業時に必要な手続きをチェックリスト形式で解説します。
廃業と休業の違い
廃業
事業を完全にやめること。税務署に廃業届を提出します。青色申告の承認も取り消されます。
休業
事業は継続するが、一時的に活動を停止すること。税務署への届出は不要です(自治体によっては都道府県税事務所に届出が必要な場合あり)。
休業中も個人事業主としてのステータスは維持されます。確定申告は原則として必要ですが、収入も経費もゼロの場合は不要です。
迷ったら休業がおすすめです。再開時に開業届を出し直す手間が省けます。
廃業時の届出チェックリスト
税務署への届出
- [ ] 個人事業の廃業届出書:廃業した日から1ヶ月以内
- [ ] 青色申告の取りやめ届出書:翌年の3月15日まで(青色申告をしていた場合)
- [ ] 給与支払事務所等の廃止届出書:廃止した日から1ヶ月以内(従業員がいた場合)
- [ ] 事業廃止届出書(消費税):速やかに(課税事業者の場合)
都道府県税事務所への届出
- [ ] 事業開始(廃止)等届出書:各自治体の期限に従う(おおむね廃業から10〜30日以内)
その他
- [ ] インボイス登録の取消届出書:インボイス登録をしていた場合
廃業する年の確定申告
廃業した年も確定申告が必要です。1月1日から廃業日までの所得を申告します。
売上の計上
廃業日までに提供したサービスや納品した商品の対価は、入金が翌年になっても今年の売上です。廃業後に入金される売上も忘れずに計上しましょう。
経費の計上
廃業日までの経費を計上します。以下は廃業時特有の経費です。
- 事務所の原状回復費用:修繕費
- 在庫の処分費用:雑損失
- リースの解約金:支払手数料
- 事業用資産の処分損:固定資産除却損
減価償却の処理
廃業した年の減価償却費は、1月から廃業月までの月割で計算します。
たとえば、耐用年数4年のPCを定額法で償却している場合、取得価額40万円なら年間10万円。6月に廃業した場合は、10万円 × 6/12 = 5万円を経費にします。
棚卸資産の処理
在庫が残っている場合、廃業時に自家消費(自分で使用)または処分します。
- 自家消費:通常の販売価格の70%または仕入原価のいずれか高い方を収入に計上
- 処分(廃棄):処分費用を経費に計上
赤字が出た場合
廃業した年に赤字が出た場合、純損失の繰戻し還付を申請できます。前年に納めた所得税の一部または全部が還付されます。
これは青色申告者のみが利用できる制度です。廃業する年まで青色申告を続けておく価値がここにもあります。
消費税の注意点
課税事業者の場合
廃業時に事業用資産を残す場合、みなし譲渡として消費税が課税される可能性があります。事業で使っていたPCを個人で使い続ける場合などが該当します。
廃業した年の消費税申告
課税期間の開始日から廃業日までの消費税を申告します。申告期限は翌年の3月31日です。
廃業後にやること
帳簿・書類の保存
廃業後も、帳簿や領収書は7年間保存する義務があります。税務調査は廃業後にも行われることがあります。
未収入金の回収
廃業後に入金される売上は、廃業した年の所得として処理済みのはず。実際に入金されたら、帳簿上の売掛金を消し込みます。
各種サービスの解約
- 事業用の銀行口座(個人用に切り替えるか解約)
- 会計ソフト
- 事業用クレジットカード
- レンタルオフィス・コワーキングスペース
- 業界団体の会費
最後の確定申告を確実に
廃業は終わりではなく、新しいスタートの準備でもあります。最後の確定申告をきちんと終わらせて、気持ちよく次のステップに進みましょう。
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