繰越控除とは?青色申告なら赤字を3年間繰り越せる
結論:青色申告なら赤字を3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できる
繰越控除(純損失の繰越控除)とは、その年に出た赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越し、黒字の年の所得から差し引ける制度です。
繰越控除の具体例
フリーランスが開業して3年間の実績が以下だった場合:
| 年 | 所得 | 繰越赤字 | 課税所得 | |----|------|---------|---------| | 1年目 | −100万円 | — | 0円(赤字繰越) | | 2年目 | −50万円 | −100万円 | 0円(赤字繰越) | | 3年目 | +300万円 | −150万円 | 150万円 |
3年目の課税所得は、300万円ではなく150万円になります。
繰越控除がなければ3年目に300万円に対して課税されるので、税率20%なら約30万円の節税です(実際は約15万円の税金で済む)。
繰越控除を使うための条件
条件1:青色申告であること
繰越控除が使えるのは青色申告者のみです。白色申告では使えません。
これだけでも青色申告にする価値があります。
条件2:赤字の年に確定申告をしていること
赤字の年に確定申告(損失申告)をしていないと、繰越控除は使えません。
「赤字だから申告しなくていいや」は大損です。赤字の年こそ確定申告が必要です。
条件3:翌年以降も連続して確定申告をしていること
赤字を繰り越している期間中、毎年確定申告を行う必要があります。途中で申告を飛ばすと、繰越が途切れてしまいます。
繰越控除の手続き方法
赤字の年にやること
- 確定申告書Bを作成
- 第四表(損失申告用) を添付
- 赤字の金額を正確に記入して提出
黒字の年にやること
- 確定申告書Bを作成
- 第四表で繰越損失の金額を記入
- 黒字の所得から繰越損失を差し引いて課税所得を計算
e-Taxや確定申告書作成コーナーを使えば、画面の指示に従って入力するだけで自動計算してくれます。
繰越控除の注意点
3年を過ぎたら消滅
繰り越せるのは最大3年間です。3年以内に使い切れなかった赤字は消滅します。
たとえば、1年目に200万円の赤字が出て、2〜3年目も赤字だった場合、4年目までしか繰り越せません。
損益通算が先、繰越控除は後
同じ年に複数の所得がある場合、まず損益通算(同年の黒字と赤字の相殺)を行い、それでも赤字が残った場合に繰越控除を使います。
古い年の赤字から使う
複数年の赤字が繰り越されている場合、古い年の赤字から先に使います。
繰戻還付という選択肢もある
繰越控除の逆で、赤字を前年に遡って適用する「繰戻還付」という制度もあります。
前年に税金を納めていた場合、赤字分に相当する税金が還付されます。
- 繰越控除:赤字を未来の黒字と相殺
- 繰戻還付:赤字を過去の黒字と相殺
どちらが有利かは状況によりますが、すぐにお金が戻ってくる繰戻還付の方がキャッシュフロー的にはメリットがあります。
フリーランスが繰越控除を活用するケース
- 開業初年度:設備投資で経費がかさみ赤字になりやすい
- 事業転換期:新しい事業を始めた年
- 売上が落ちた年:不景気や案件減少で一時的に赤字になった場合
- 大きな設備投資をした年:高額なパソコンや機材を購入
まとめ
- 繰越控除は青色申告者が赤字を3年間繰り越せる制度
- 赤字の年にも確定申告が必要(損失申告)
- 翌年以降も連続して申告すること
- 3年で使い切れない赤字は消滅する
- 繰戻還付という選択肢もある
赤字の年も黒字の年も、正確な帳簿があってこそ控除が活きます。フリーフリーで日々の記帳を習慣にしておきましょう。